この記事では傷や汚れなどにより光沢を失ってしまった大理石を自分で磨いて白くピカピカにする方法をご紹介します。
大理石は傷つきやすく酸やアルカリに弱い
玄関やキッチン天板、テーブルトップなどに使われる大理石はツルツルした固い石に見えますが、実はスポンジのような多孔質構造の比較的柔らかい石材です。そのため普段生活するだけで表面に細かい傷が蓄積され、徐々に曇りガラスのように光沢が失われてきます。また酸やアルカリにも弱く、ペットの尿や果物ジュース類、カビキラーやクエン酸などの洗剤類、さらにはメラミンスポンジなどの掃除道具によっても光沢がなくなってしまいます。
入居当時はピカピカだった筆者宅の玄関も3年ほどですっかり艶がなくなり、黄ばみ、黒ずみ、いくら掃除をしても取れない茶色のシミ汚れなどが目立つようになってきました。
大理石の光沢の回復方法
大理石の光沢の回復方法はいくつかありますが、お勧めは表面を薄く研磨する方法です。
回復方法 | コーティング | 張り替え | オススメ! 表面研磨 |
美観 | 悪い | 良い | 良い |
費用(DIY) | ~1万円/回 | 不可能 | ~2万円 |
費用(業者) | 2~3万円/回 | 10万円~/回 | 3~5万円/回 |
施工性 | 普通 | 悪い | 良い |
コーティングは最も費用が安いですが、大理石の表面をコーティング剤で覆ってしまうため見た目がヌラヌラとしたビニールのような質感になります。また劣化により徐々に白化や剥がれなどの問題も発生してくるためお勧めできません。
張り替えは既存の大理石を除去してから大理石を敷きなおすため、非常に大がかりな工事となります。除去に電動ハンマーを使うため騒音も大きく隣家や下階へのクレーム対策も必須です。
一番のおすすめは傷や汚れのある表面を薄く研磨することです。しかし業者に頼むと1回3~5万円と定期的なクリーニング代としてはかなり痛い出費です。またプロ用の石材研磨専用工具は約7万円と気軽に試せる金額ではありません。そこでここでは安価に初心者でも簡単に大理石をピカピカに磨く方法をご紹介します。道具をそろえるのに2万円ほどかかりますが、気が向いたときに何回でもメンテナンスすることができるので常に新築さながらの艶ピカ状態に保つことができます。
表面研磨で光沢が蘇る仕組み
生活傷により表面がデコボコとなった大理石は、曇りガラスのように光を乱反射している状態です。
まずダイヤモンド研磨パッド(ヤスリのようなもの)で生活傷を丸ごと削り取ります。削る量は10分の1ミリ以下なので、大理石が無くなってしまうことはありません。
次に少しだけダイヤモンドの粒が小さいパッドを使って前回の磨き傷(デコボコ)を小さくします。これを繰り返して大理石の表面を徐々に平面に近づけていきます。
最後に、最も粒が小さいパッドで表面を真っ平らに仕上げると、鏡のような光沢が得られる、というわけです。
研磨に必要な道具
- 電動工具(125mm径のランダムサンダー) 2.大理石用ダイヤモンド研磨パッド 3.その他
お願い:最近、上記以外のパッドを購入された方から「上手く光沢がでないのですがナゼでしょうか?」というお問合せを多数受けております。上で紹介したパッドは入荷ロットごとにサンプル研磨を行い品質を確認しておりますが、他社製パッドに関しましてはパッドが粗悪品なのか研磨方法が悪いのか判断できかねるのが実情です。他社のパッドであってもこの記事がお役に立てるのは嬉しい限りですが、うまくいかない場合のお問合せはパッドの販売者様にお願い致します。
大理石の磨き方
1.まず、砂などが残らないよう玄関の床を綺麗に水拭きします。
2.養生テープを貼り、研ぎ汁の飛散から周囲をガードします。
3.電動工具から集塵バッグを外して速度を最低に設定し、研磨パッドを取り付けます。
通常はパッドの目が粗い順に#800→#1500→#3000→#6000→#10000と磨いていきますが、傷や汚れが気になる場合は#400から始めてください。パッドは裏面がマジックテープになっているので簡単に取り外しが可能です。
4.ペットボトルで床に水を撒きます。(1平米あたり300mlが目安です)
5.スイッチを入れ、上から軽く押さえながら磨いていきます。
30cm角のタイル一枚あたり、縦に5往復、横に5往復を2セットぐらいが目安です。
6.全面が磨けたら、手で触ってザラザラしなくなるまで雑巾でよく拭いてドライヤーで乾かします。光を照らしてみて磨きムラを発見した場合、同じパッドでもう一度磨いてください。
7.次のパットを取り付け、4.に戻ります。#10000まで磨いたら終わりです。
ビフォアアフター
玄関
キッチン
失敗しないコツ
- 研ぎ汁は毎回完全に除去する
- ランダムサンダーを使う
- 品質のしっかりしたパッドを使う
- ピカールなど液状研磨剤は使わない
- 黒や深緑の石材はプロに任せる
研ぎ汁は毎回完全に除去する
上手く磨けない原因の殆どが研ぎ汁の除去漏れです。研ぎ汁にはダイヤモンドや大理石の粉が含まれるため、次のパッドで磨く前に必ず手で触ってザラザラしなくなるまで研ぎ汁を完全除去してください。拭くというよりも表面を水洗いをする感覚です。また雑巾は使うたびに洗う必要があるので複数あると便利です。どうも上手く磨けない場合は全てのパッドを一度ワイヤーブラシ(100均のものでOK)で綺麗に掃除してみてください。
前回の研ぎ汁(ダイヤモンド粉)が残っていたりパッドに付着していたりすると・・・
それらが傷=くもりの原因となりいつまでたっても光沢は出ません
ランダムサンダーを使う
上で紹介した電動工具(ランダムサンダー)は回転方向と偏心運動の組み合わせにより初心者でも簡単に研磨することが可能です。似た電動工具にディスクグラインダーというものがありますが回転方向のみのため磨きムラが出来やすく、また水切れも起こしやすいため気を抜くとパッドが焦げます。研磨のプロなら技量でカバーもできるかもしれませんが、初心者は避けた方が無難です。
品質のしっかりしたパッドを使う
Amazonの格安輸入パッドは偽物や粗悪品が多いです。レビューが星5でも全く使いものにならないものや磨けているようで最後まで艶が出ないものなど様々です。一方ちゃんとしたパッドを正しく使えば初心者でも綺麗に仕上がります。
↓買って試した粗悪品の山↓
最近はAmazonのサクラレビューは分かりにくくなってきていますが、日本人のフルネームで「Amazonで購入」というマークがない星5レビューは原則業者のサクラレビューですのでご注意ください。
ピカールなど液状研磨剤は使わない
ピカールなどの液状研磨剤を大理石の研磨に使用してはいけません。前述の通り大理石はスポンジ状の多孔質構造のため、研磨剤の溶剤(灯油などの有機溶剤)がしみ込んで臭いが取れなくなる&科学的に反応して劣化やシミの原因となる可能性があります。
濃い色の石材はプロに任せる
白色や灰色など色の薄い石材は初心者でも簡単に光沢を出すことが出来ますが、黒や茶、深緑などの色の濃い石材は光沢を出すのが難しいです。そのような石材の研磨はおとなしく石材研磨専門のプロに任せることをお勧めします。
まとめ
玄関の艶出しに3時間、キッチンには4時間かかりましたが、徐々にツヤツヤになっていく床を見ながら楽しく作業が出来ました。やはり日常で使う場所がピカピカしていると気持ちが良いです。研磨パッドは玄関とキッチンを磨いても全く減っておらず、玄関程度の面積であれば10回以上は使えるはずです。興味のある方はチャレンジしてみてください。
人工大理石の研磨はこちら
電動工具が苦手な方はこちら
ご不明な点などありましたらお気軽にコメントどうぞ。
コメント
はじめまして。宜しくお願いします。
大理石を、ダイヤモンドパッドで研磨に挑戦してみようと思っています。
ポリッシャーですが、高儀 の電動ポリッシャーで、紹介されているものよりもう少しお手軽価格で回転数が低い商品がありました。
大理石を磨くときは、10000トルクくらい必要ですか?3000くらいでも磨けるようなら、後で車のワックスがけにも使用できるお手軽な方を購入しようかと考えています。
※お名前を修正させて頂きました。
コメントありがとうございます。ちょろずや管理人です。
高儀 の電動ポリッシャーというとEP-300Aでしょうか。
この機種の利用実績がないので確実なことは言えませんが、EP-300Aでは石材の研磨には(回転数ではなく)パワーが足りない気がします。
パワーはおおよそ消費電力に比例しますが、リョービのRSE-1250が300Wなのに対してEP-300Aは60Wです。
スポンジでやさしく車を磨くぐらいなら問題ないかもしれませんが、硬い石を磨くため少し力をかけると回転が止まってしまう可能性があります。
同じ高儀の機械でもランダムサンダー RSD-100SCであれば消費電力315Wでパワーは十分で、当方で研磨実績もあります。
ただこれだと形状的に車のポリッシャーとして流用するのは難しいかもしれません。
以上、ご検討ください。
一つ疑問なのですが、角はどのように処理されますか?
円形の物を回転して研磨するのであれば、90°の角の部分って研磨できませんよね?
できる物なのでしょうか…
コメントありがとうございます。ちょろずや管理人です。
ご指摘の通り、角は円型パッドの宿命で研磨ができません。
プロは仕上げに80mm径など小さいパッドを使ってなるべく奥まで磨くようですが、それでも磨き残しは発生してしまいます。
角は人が歩くところではないので光沢が残っていることが多いのですが、それでも完璧に仕上げたいということであればダイヤモンドハンドパッドで角をまず研磨してから全体を円型パッドで研磨するという形になります。(ハンドパッドの費用がプラスで掛かってしまいますが、、、)
以上、ご検討ください。
サイト参考にさせていただきました。
Amazonでグラインダーと、研磨パッドを購入しましたが、大理石タイルの溝で割れてしまいました。また、研磨ムラが酷く、結局リョービの電動ポリッシャーを購入したのですが、研磨パッドを決めあぐねています。
サイト内でご紹介されているパッドは、問題なく使用されましたか?またオススメのパッドがあれば教えてください。
まさと様
コメントありがとうございます。ちょろずや管理人です。
過去Amazonや中国のECサイト、メーカーから様々なパッドを購入しましたが、残念ながら使い物にならない・耐久性が低いものが数多くありました。当サイトで紹介しているパッドはその時に見つけた最も品質が高く安定していたメーカーに製造してもらっているものです。取り扱い開始時に複数種の大理石・御影石にて研磨テストを行い、また入荷タイミングごとにサンプルで研磨テストを実施し問題ないことを確認しております。
しかしお客様の環境(研磨面の状態)によってはなかなか思ったような効果が得られない可能性もありますので、その際はお気軽にご相談いただければと思います。
はじめましてよろしくお願いします。
「黒や深緑などの色の濃い石材は光沢を出すのが難しいです。」
とありますが、なぜ黒だと光沢を出すのが難しいのでしょうか?
cchp様
コメントありがとうございます。ちょろずや管理人です。
「濃色系石材は光沢出すのが難しい」について、正確には「濃色系石材は研磨行為により生じる微細な研磨痕が白色系石材よりも目立ちやすく最終的に白く曇ったような仕上がりになりやすい」となります。本パッドに限らず研磨剤を用いた研磨行為は大きな傷や汚れを落とす代わりに研磨そのものによる細かい研磨痕が必ずついてしまいます。研磨痕は太陽や照明の光によって白い筋のように見え、それが色の濃い素材ほど目立ちやすく白く濁ったような仕上がりになりやすいです。この研磨痕を消しながら磨くのは特殊な器具と熟練の技が必要となるため濃色系石材の研磨はプロにお任せすることをオススメしています。